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武部 愼一
KURRI-KR-44, p.82 - 95, 2000/02
長寿命核種は、低レベル廃棄物の埋設処分において処分管理時間(300年)を経過しても、核種量はほとんど変化しないことなどから、環境への長期影響評価をより正確に進める必要がある。しかし、放射性廃棄物の処分における長期の環境影響評価において、国内の地層を対象にした長寿命核種の吸着・移行データは非常に少ない。そのため国内の地層を対象にした長寿命核種の吸着・移行データ等を整備する必要がある。原研では、RI・研究所等廃棄物の処分に関して対象とする核種のインベントリー調査や重要核種の絞り込み、処分システムにおける被曝評価に必要な移行パラメータの収集等を進めている。本講演では、RI・研究所等廃棄物で安全評価上重要となる長寿命核種の分配係数に関する実験条件等の調査内容及び実験結果(バッチ法)等について報告する。
高橋 知之*; 武部 愼一; 木村 英雄; 松鶴 秀夫; 保田 浩志*; 内田 滋夫*; 佐伯 明義*; 馬原 保典*; 佐々木 規行*; 芦川 信雄*; et al.
KURRI-KR-44, p.169 - 176, 2000/02
分配係数は原子力施設の安全評価上極めて重要なパラメータである。原研に設けられた環境放射能挙動専念部会・安全評価用パラメータ検討グループでは、分配係数測定値の利用に関して標準的な条件を提言することを目的に各研究機関における相互比較実験等を実施してきた。本報では、各研究機関においてこれまで実施してきた分配係数測定値に与える各種の変動因子による影響について、得られた実験結果を報告するとともに、分配係数の測定条件やその条件の設定に関する考え方等についてのアンケート調査状況、並びに現在問題となっている項目や今後検討すべき課題等について報告する。
坂本 義昭
KURRI-KR-44, p.68 - 77, 1999/11
放射性廃棄物の埋設処分の安全評価では、地下水中での放射性核種の吸着・移行挙動の評価が重要である。特に、原位置における土壌中等の移行挙動を把握することが重要であるが、原位置試験には種々の制約があり実際に実施することは容易ではない。カナダ原子力公社チョークリバー研究所においては1960年に埋設されたガラス固化体から浸出したSrとCsが30年以上にわたって砂質土壌中を移行しているため、長期にわたる原位置試験を実施したことに等しい状況にある。このため、原研は同公社との共同研究により1990年から1992年まで、同実験サイト中の約30年に及ぶSrとCsの移行挙動を明らかにした。共同研究では、土壌中の放射能濃度分布、土壌への吸着形態、地下水中の化学形態を調べた。その結果、Srの吸着挙動は、おもにSrの陽イオン交換に基づくが、一部は非晶質鉄酸化物との速度論的な吸着反応に基づくことを明らかにした。また、Csの吸着・移行挙動は、Csの土壌への固定化及び粒子状Csの濾過等に基づくものであることを明らかにした。